日々、雑雑と。

いろいろなことを垂れ流し

人間失格 - 太宰治

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これのプレミアムカバー版のものを買った。総ページが150程度だったので、通勤時間中読んで計3時間程度で完読。内容は主人公の葉蔵の半生を自叙伝として綴ったもの。読むと、葉蔵が入水自殺を図ったり、酒に溺れたり、しまいには人間失格を悟って廃人になってしまう経緯が書かれている。

感想

太宰治作品を読んでこなかった者の感想としては、本編だけ読めば、主人公である葉蔵の転落の半生をストレートに見せつけられ、読んでて気持ちが浮かばれない作品で、正直、何故この小説が有名なのか理解し難かった。ただ、私が太宰治の生涯を知らなかったからこの感想だったんだと思う。解説(奥野健男)を読むと、太宰治自身は、似たようなエピソードの後、一種の諦観で小説家として再起して、有名な文学作品を数々残していくのだそうだ。そのため、メタな解釈にはなるが、太宰治≒葉蔵として見れば、この小説の本編が起承で、解説(その後の太宰治の話)が転結になっているように見える。それを踏まえると、本編が実は太宰治の自叙伝でもあるメタ要素への驚きと、葉蔵から太宰治に切り替わり、作家として復帰する救いがあり、メタ込みで面白い小説だと思える。